Sport Optics Guide - フィールドスコープの選び方
EDレンズとノーマルレンズの比較
EDレンズと通常レンズの違い
光の波長の違いによる結像位置の違いや倍率の違いによって起こるのが、色収差です。色収差は単独のレンズでは解決できないため、性質の異なる2枚のレンズを貼り合わせて補正します。中でもニコンが独自に開発したED(特殊低分散)ガラスを使用したEDレンズは、色にじみを良好に補正し、特に高倍率での観察時に効果を発揮します。色収差は白い対象物、例えば白鳥や白鷺などを観察したとき、背景と鳥の白い部分との境界に目立ちます。自然な色の再現を重視する観察やデジスコーピング撮影などには、光学系にEDレンズを採用したフィールドスコープがおすすめです。
EDレンズと二次スペクトル
可視光線は様々な波長の光で構成されており、対物レンズとしてはこれら全ての波長を一点に結像させることが理想的です。
単レンズでは、光はプリズムと同じ作用で曲げられるため、どの波長の焦点距離もそれぞれ異なっています。その結果、各波長の光が同じ位置に結像しないため大きな色収差が発生します。
従来のガラス材料を使用したアクロマート対物レンズでは二つの波長についてその焦点距離を一致させることができます。例えば可視光の両端の波長である赤と青の波長についてその焦点距離を一致させ、色収差をある程度押さえることができます。但し、細かく見れば他の波長、例えば緑の波長についてはその焦点距離が異なるため、結果として残存色収差が発生します。この残存色収差を二次スペクトルと呼んでいます。
この二次スペクトルを補正するには従来のガラス同士の組み合わせでは不可能で、特殊な分散の性質をもつ光学材料が必要になります。
EDガラスはこのような特殊な性質を持つガラスであり、他のガラスと組み合わせることにより、この二次スペクトルの値を非常に小さくできるため従来のアクロマート対物レンズと比較して、飛躍的に色収差を低減することが可能となりました。