Sport Optics Guide - 双眼鏡の構造と光学技術
ダハプリズムへのコーティング
プリズムにも透過率を向上させるための多層膜コーティングが施されます。また、ダハプリズムとして構成される補助プリズムには、全反射をしない面があるため、金属等を蒸着させ反射率を上げる必要があります。さらに、ダハ面に「位相差補正コーティング」を施すことで、コントラストを向上させることができます。
- ※双眼鏡の明るさやコントラストは、プリズムへのコーティングだけでなく、対物レンズ、接眼レンズの枚数、レンズへのコーティングの種類等の影響があります。
金属蒸着高反射ミラー
補助プリズムの全反射しない面の裏側に、アルミニウムや銀などの金属膜を蒸着させることで、反射率を向上させます。
高反射誘電体多層膜ミラー
反射率は99%以上という非常に優れた特性を持っています。光の干渉を利用し、可視域全体にわたり高い反射率を有し、色再現性にも優れます。
反射ミラーの反射率の比較
横軸が光の波長、縦軸が光の反射率を表します。
双眼鏡の明るさは、反射ミラーだけでなく、レンズの枚数、コーティングの質等による総合した光学系で決まります。
位相差補正コーティング
ダハプリズムのダハ面で光が反射する際に、光波に位相ずれを生じ、解像力がやや低下します。この現象は、プリズムが完全に加工されていても起きるもので、光の波としての性質によるものです。そこで、ダハ面に位相差補正コーティングを施し、光波の位相ずれを補正します。これによって、解像力の低下を押さえ、よりコントラストの高い像を得ることができます。