Sport Optics Guide - 双眼鏡の選び方
仕様で選ぶ
双眼鏡には基本となる仕様・性能があります。
下記の項目にに注意して、お選びください。
倍率
単純に倍率が高ければ、よい双眼鏡というわけではありません。
用途や見る対象によって適切な倍率は様々ですが、見やすさ、使いやすさを考えると12倍ぐらいまでがおすすめです。
倍率が高くなると「視野が狭くなる」「手ブレの影響が大きくなる」「ひとみ径が小さくなる(暗くなる)」などのデメリットが出てきます。そのため、動きのある対象物や、遠くの目標物を捉えることが難しくなります。
ズーム双眼鏡は便利なの?
ズーム双眼鏡は、低倍率から高倍率まで倍率を変えて見ることができます。たとえばコンサート会場で使用するとき、低倍率で会場全体を楽しみ、高倍率でアップして見たいシーンを楽しむことができます。しかし、倍率が高くなると視野が狭くなり、手ブレの影響を受けやすくなるなどのデメリットもあります。こうした特長を活かして、ズーム双眼鏡を楽しんでください。
倍率が高すぎる双眼鏡
50倍、100倍という高倍率の双眼鏡もありますが、あまり倍率が高すぎると観察しにくくなります。
例えば「100×50」(100倍、対物レンズ有効径50mm)の双眼鏡の場合
- きわめて視野が狭くなり、対象物を捉えにくくなります。
- ひとみ径が0.5mmと小さ過ぎるため、非常に暗くなります。
明るい環境下でも、人間のひとみは絞られても2mmまでです。
0.5mmでは、目に入る光の量が不足して暗く感じてしまいます。 - 手ブレの影響を大きく受け、手持ちでの観察が困難になります。
対物レンズ有効径
同じ倍率のとき、対物レンズ有効径が大きいほど集光力があり、解像度と明るさが向上します。一方で対物レンズ有効径が大きくなるほど双眼鏡は大きく重くなります。
ひとみ径・明るさ
30㎝ほど離れたところから接眼レンズを見たときに見える明るい円(ひとみ)の直径をひとみ径といいます。この直径が大きいほど明るく見ることができます。明け方や夕暮れ時、天体観察時にその差を発揮します。ひとみ径は、下記の式で表せます。
ひとみ径=対物レンズの有効径÷倍率
実視界
双眼鏡を動かさずに見ることのできる範囲を、対物レンズの中心から測った角度です。実視界が大きいほど、見える視野は広くなります。たとえば、動きの速い野鳥を視野に入れておくためには、実視界が広いほど有利です。
また、天体観察でも、実視界が広いほど、星雲、星団などの天体を見つけやすくなります。
見掛け視界
双眼鏡をのぞいた時、その視野がどの位の角度に広がって見えるかを表します。見掛け視界が大きいと、高倍率でも視野が広くなり、迫力ある見え味が楽しめます。
例えば、倍率8、実視界7.0度の双眼鏡の見掛け視界は、以下のようになります。
- 2ω'= 2 x tan-1 (Γ x tan ω)
= 2 x tan-1 (8 x tan 3.5°)
= 52.1°
1000mにおける視界
1000m先の物体を、双眼鏡を動かさないで見ることが出来る範囲をm(メートル)で表したものです。
アイレリーフ
ひとみができる位置をアイポイントといい、接眼レンズの最終面からアイポイントまでの長さをアイレリーフと呼びます。
このアイポイントからのぞけば、全視野がケラレることなく観察できます。
アイレリーフが15mm以上と長い(ハイアイポイント)タイプならメガネをかけたままでもケラレのない視野が得られます。
最短合焦距離
双眼鏡のピントが合う一番近い距離のことです。双眼鏡では通常遠いところを目標にしますが、美術鑑賞や草花・蝶などの観察の時には、近い距離から、さらに拡大して楽しむことができます。その場合、最短合焦距離が近いほど、ディテールをじっくり鑑賞することができます。双眼鏡の最短合焦距離は、短いもので1~2mになります。
防水
ニコンの防水タイプの双眼鏡は、鏡筒内の気密性を保ち、窒素ガスを充填しています。これにより光学系内部に発生する、くもりやカビを生じにくくさせます。ただし、水中で使用することはできません。防水型でも、濡れてしまった場合は乾いた布で水分をよく拭き取り、十分に乾かしてください。