Sport Optics Guide 双眼鏡 - 双眼鏡の構造と光学技術

収差

ニコンの双眼鏡は、特に光学性能の優秀さから、高い評価を受けております。ニコンでは、像が明るく、細部まで見分けられることをよい双眼鏡の第一条件として、それを実現する最良の光学設計を行っております。その際に重要なのがレンズの収差への対応です。ニコンでは、下記の収差を適切に補正する設計により、明るく、シャープな見え味を実現しております。

球面収差

同じ光軸上の一点から出た光線でも、レンズに入射するときの光軸からの距離によって、結像する距離がずれてきます。このために起こる収差が球面収差です。図でP’にスクリーンを置いたとすると、Pの像は点にはならず、広がりを持つボケた円になってしまいます。球面収差はレンズの口径を絞ると減少します。

  • 写真は見え方のイメージです。

コマ収差

レンズに入射するときの光軸からの距離の差によって起こる収差ですが、球面収差が位置の収差であるのに対し、コマ収差は倍率の収差と言えます。星などの点像に彗星(コマ)状の尾を引いたような歪みが生じることから、コマ収差と呼ばれています。コマ収差は、視野周辺の像質に大きな影響を与えます。

  • 写真は見え方のイメージです。

非点収差

子午面(光軸を含む面)と球欠断面(子午面と垂直な面)との曲率半径の違いによって生じる収差が、非点収差です。非点収差のあるレンズで格子模様の物体を見ると、縦の線にピントが合うと横の線がボケて見え、横の線にピントが合うと縦の線がボケて見えます。非点収差はレンズ入射角の2乗に比例して大きくなるので、視界の広い双眼鏡では視野周辺の像に大きな影響を与えます。

  • 横の線がボケた場合
  • 縦の線がボケた場合
  • 写真は見え方のイメージです。

像面湾曲

コマ収差および非点収差を十分に補正すると、光軸外の点から出た光線は一点に結像しますが、光軸上の結像点に垂直な面上に結像するとは限りません。これを像面湾曲と言います。像面湾曲があると視野中心でピントを合わせても周辺ではピントが合っていないという現象が生じるため、広視界タイプの双眼鏡には極めて大きな弊害となります。

  • 写真は見え方のイメージです。

歪曲収差

光軸からの距離に応じて、像の倍率が異なってくるために起こる歪みのことで、正の歪曲と負の歪曲があります。像の鮮明度には関係ない、形の歪みのことで、入射角の3乗に比例して大きくなります。対象の形が歪んで見える収差です。

  • 歪曲収差なし
  • 正の歪曲収差
    (糸巻き型)
  • 負の歪曲収差
    (たる型)
  • 写真は見え方のイメージです。

色収差

光の波長の違いによる結像位置の違いや倍率の違いによって起こるのが、色収差です。色収差は単独のレンズでは解決できないため、性質の異なる2枚のレンズを貼り合わせて補正します。中でもニコンが独自に開発したED(特殊低分散)ガラスを使用したEDレンズは、色にじみを良好に補正します。

  • 色収差あり
  • 色収差なし
  • 写真は見え方のイメージです。

EDレンズと二次スペクトル

可視光線は様々な波長の光で構成されており、対物レンズとしてはこれら全ての波長を一点に結像させることが理想的です。
単レンズでは、光はプリズムと同じ作用で曲げられるため、どの波長の焦点距離もそれぞれ異なっています。その結果、各波長の光が同じ位置に結像しないため大きな色収差が発生します。
従来のガラス材料を使用したアクロマート対物レンズでは二つの波長についてその焦点距離を一致させることができます。例えば可視光の両端の波長である赤と青の波長についてその焦点距離を一致させ、色収差をある程度押さえることができます。但し、細かく見れば他の波長、例えば緑の波長についてはその焦点距離が異なるため、結果として残存色収差が発生します。この残存色収差を二次スペクトルと呼んでいます。
この二次スペクトルを補正するには従来のガラス同士の組み合わせでは不可能で、特殊な分散の性質をもつ光学材料が必要になります。
EDガラスはこのような特殊な性質を持つガラスであり、他のガラスと組み合わせることにより、この二次スペクトルの値を非常に小さくできるため従来のアクロマート対物レンズと比較して、飛躍的に色収差を低減することが可能となりました。

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